危険な頭痛の原因・特徴・見分け方 12選!

頭痛で困っておられる方はすごく多いんですね。日本全体で頭痛の患者さんは 3000万人以上、とも言われています。

ここで、同じ「頭痛」と言っても、専門家の目線で細かく見ると、数百種類以上に分類されます。すごく多いです。

しかし、頭痛を「どうやって治すか」、という視点で見ると、まず大きく2つにグループに分かれます。

一つ目は、単なる頭痛といいますか、脳の中に何か頭が痛くなる原因になるような病気が特にない頭痛、いわゆる「頭痛持ち」の方の頭痛です。これを一次性頭痛といいます。

もう一つは、逆に、脳の中に何か頭が痛くなる原因になるような病気がある頭痛です。二次性頭痛といいます。これは、脳の血管が破れたり(クモ膜下出血、脳出血)、脳にできものが出来たり(脳腫瘍)、脳組織に菌が繁殖したり(髄膜炎、脳炎)した場合など、脳や頭部の病気の症状として出てくる頭痛です。急いで処置が必要な場合が多いです。

今回は、同じ頭痛の中でも、この二次性頭痛、つまり

脳の病気の症状として出ている頭痛を、どうやって見分けるか

どのような頭痛であれば頭の病気を心配した方が良いのか

専門の医者を受診した方が良いのか

そのような頭痛の特徴について説明します。

①突然に出てきた頭痛

頭痛が出始めてから5分以内で最高に痛くなり、「バットで殴られたような」などと表現される痛みです。このような頭痛では、くも膜下出血という、脳の表面の血管が破れることで出血する病気の可能性があり、その場合には、命の危険な状態、その場で亡くなられる方もおられます。

□突然の頭痛

□40歳以上

□首の痛みも出てきた

□首が硬くなって動かない

□意識が悪くなった

などの条件が重なると、くも膜下出血の危険性はますます高くなります。

この「突然出てきた激しい頭痛」、が危険な頭痛ということは、有名な話だと思います。

突然痛くなって我慢できない、となれば、ほとんどの方は救急車を呼ばれるでしょう。

ただ、くも膜下出血の患者さんの中には、実際に出血していても症状が軽い方もおられます。

中には外来に普通に歩いてこられる方もいらっしゃいます。

ですから、痛みがものすごく強いわけではなくても、くも膜下出血でないとは言い切れないんですね。これは言い出したらキリがないのですが急に頭痛が出てきたら、ものすごく強い痛みでなくても、専門の医師を受診することを勧めます

②手足が動きにくい、言葉がでにくい、意識が悪い などの症状も出てきた場合

脳の中で血が出た、いわゆる脳出血の場合では、出血した脳の部位、ダメージを受けた脳の場所によって、頭痛以外にいろいろな症状が出ます。

このような場合、頭痛と一緒に、手足が動きにくい、言葉がでにくいなどの症状が出た場合には、脳の専門の病院を急いで受診する、さらには、救急車を呼んでいただく必要があります。

③最近発症した新しい頭痛、または最近頭痛の症状、頭の痛み方が変わってきた

頭の中に何か新しい異常が起きているから頭が痛い、という状況がないのかを詳しく調べた方が良いでしょう。

④痛みや症状が徐々に悪くなっていく場合

徐々に痛みが強くなってくる場合は、色々な病気が考えられます。

脳のできもの(脳腫瘍)  または、

少しずつ血が溜まっている状態(慢性硬膜下血腫)など、

治療しないといけない脳の病気が潜んでいて、それを治療していないので症状が悪くなっている、という可能性があります。

⑤けがをした後の頭痛

頭をケガした、頭に外部から強い衝撃が加わった、その後に頭痛が出てきたら、頭の中に出血している可能性があります。

痛みがケガの直後から出たなら、やはり急いで病院を受診した方が良いのですが、痛みがケガをして少したってから、例えば当日は何となく過ごしたけれど、次の日から頭が痛くなってきたときにも頭の中、頭蓋骨の中でわずかに血が出ているかもしれませんので、これも病院またはクリニックで診察、検査を受けた方が良いでしょう。

⑥発熱を含む全身の症状 

頭痛と一緒に熱が出て、他にも項部硬直といって、首が硬くなって前に曲げられない、お辞儀する姿勢が出来ない、

首が痛くて、前に曲げられなくなります

とか、意識が悪くなる、呼びかけても返事できなくなる、などの症状があれば、髄膜炎と言って、脳の周りの組織に菌が繁殖している病気の可能性があります。

⑦頭痛以外に、目の周りが強烈に痛くなり、涙や鼻水などが出てきた場合

このような頭痛は専門用語で、三叉神経・自律神経性頭痛といいます。

細かくはさらに何種類かに分かれるわけですが、このタイプの頭痛の方では、脳の病気を合併していることがあります。特に脳の奥の海綿静脈洞とか下垂体という部分での病気の症状としてこのような頭痛が出ることがあります。Review Arch Neurol . 2007 Jan;64(1):25-31

⑧ ガンの治療を受けたことがある

ガンの治療歴があると、がんの細胞が脳に転移している、血液の流れに沿ってガン細胞が脳に広がっている可能性があります。特に肺がん、乳がん、などでは注意が必要ですが、他にも、大腸がん、胃がんなども注意が必要です。がん治療をされているときに、新たな頭痛が出た場合は、担当の先生に御相談されるとは思いますが、一度はMRI検査をしておいた方が良いでしょう。

⑨65歳以上の方で新たに出てきた頭痛

ある報告では、頭痛患者さんの頭痛の原因を調べて、年齢との関係を見てみると、65歳以上の患者さんでは、65歳以下の患者さんと比べて二次性頭痛、つまり何かの病気が原因だった割合(脳出血や、血管の病気)が10倍近くあったということです。年齢が上がるにつれて、脳出血などの血管の病気は増えますので、やはり注意が必要です。

⑩姿勢で変わる頭痛

座ったり立ったりすると痛みが出てきて、横になると直ちに治まる頭痛です。このような場合は、脳脊髄液減少症、または低髄液圧症候群 という病気が考えられます。これはどういう病気かといいますと、多くの場合では交通事故やスポーツ外傷など、体への何か衝撃が加わった後ですが、脊髄の硬膜という、脊髄の周りにある膜が破れて、中にある脳脊髄液という水が漏れて、量が減る、脳の周りの液の量も減ることによって、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、不眠、記憶障がい等のさまざまな症状を出すという病気です。

この病気の可能性がありますので、診察を受けた方が良いでしょう。

⑪くしゃみや咳で誘発される頭痛

咳で誘発される頭痛の原因としては、アーノルド・キアリ奇形I型という病気があって、これは小脳(脳の一部)が頭蓋骨の外まで落ち込む病気です。他に、脳腫瘍などでも同じような頭痛が出ることがあります。

⑫妊娠中また産褥期に、新たに出た頭痛

妊娠している最中、と、産褥期(お産の直後6-8週間)には血栓(血管の中に出来る、血の塊のようなもの)ができやすいので、脳の血管が詰まるリスクが高くなります。ですから、この時期に新しく頭痛が出てきた場合は、一度受診を考えた方がいいと思います。

まとめ

脳の中に何か頭が痛くなる原因になるような病気がある頭痛の特徴としては、

①突然に出てきた激しい痛み

②手足が動きにくい、言葉がでにくい、意識が悪い などの症状がある

③最近新たに出てきた、または最近痛み方が変わってきた

④痛みや症状が徐々に悪くなっている

⑤けがをした後

⑥発熱を含む全身の症状がある

⑦目の周りが強烈に痛み、涙や鼻汁も出る

⑧ガンの治療を受けたことがある

⑨65歳以上の方で新たに出てきた

⑩姿勢で変わる

⑪くしゃみや咳で誘発される

⑫妊娠中また産褥期に新たに出てきた

などがあります。

以上のような頭痛の方は、一度専門の医師を受診されることをお勧めします。

脳卒中の予防頭痛頭痛一般
大阪市東淀川区 上新庄駅南口から徒歩3分/内環状線沿い 「よしむら脳神経・脊椎外科クリニック」頭痛、手足のしびれ、ものわすれ、首・腰の治療、脳卒中の予防 MRI
Web予約
手術・治療の
ご相談
06-6476-9742
休診:日・祝祭日