片頭痛や緊張型頭痛の患者さんは、頭痛が強いときには、頭痛の治療薬(市販薬、鎮痛薬、トリプタン、エルゴタミン製剤など)などを飲んで、痛みを抑えます。
しかし、これらの薬を頻繁に飲みすぎると、頭が痛くなる回数が増えてきて、毎日のように頭痛がおこるようになります。
なぜこのようなことになるのか? といいますと、
頭痛の薬を常に内服していると、脳が痛みに過敏になり、薬の効果も弱くなるので、少しだけの刺激で強く痛みを感じるようになるのです。
その結果として、頭痛が起こる回数が増えて、痛みの程度も強くなり、症状が悪くなります。
これを「薬剤の使用過多による頭痛」といいます。(以前には、「薬物乱用頭痛」と呼ばれていました。)
薬の飲みすぎで頭痛がひどくなる場合がある、ということを知らなければ、頭痛薬を飲む回数・頻度が増えるので、薬の効果もさらに低くなります。
すると、内服の回数を増やす、その結果さらに頭痛が悪くなる、という悪循環になります。
頭痛薬を毎月10回以上飲むという場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。
ですから、薬を連日飲んだり、薬の効果がなくなってきたと思ったら、自分の判断で薬を飲むことはやめて、早めに専門の医師に相談した方がよいでしょう。
どのように治療
薬剤の使用過多による頭痛で原因として最も多いのは、市販の鎮痛薬です。
片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛がある方が市販薬を内服したことによるものが、ほとんどを占めます。
気軽に手に入りやすいので、市販の鎮痛薬の飲みすぎには注意しましょう。
薬剤の使用過多による頭痛を予防する、または発症した場合の治療は、第一に、乱用している薬の内服をやめることです。
止めることで頭痛が治る方が7割で、残りの3割の方は再発するといわれています。
さらに、頭痛ダイアリーに記録することで、鎮痛剤を飲んでいる日数を確認するようにしましょう。
その他の治療としては、頭痛の予防の薬を使います。
重症の方は、入院が必要な場合もあります。