腰部脊柱管狭窄症の患者さんから外来でよく聞かれますので、この場でお答えします。
Q1. 放っておいても治らないものなのでしょうか?
脊柱管が狭くなった状態では、骨や黄色靭帯、椎間板が変形して腰の神経を圧迫しています。
変形して物理的に狭くなった脊柱管では、その後、狭窄が徐々に進行することがあっても、広がることはありません。
長い時間が経過すると、より一層狭くなっていく可能性の方が高いです。
しかし、症状の強さは狭窄の程度と必ずしも一致しません。
診断された段階で狭窄が強くても、症状が重篤でなければ、まずは投薬治療などが優先されます。
Q2. 放っておいたら歩けなくなるのでしょうか?
狭窄が進行・悪化した場合、足の筋力が低下する場合があります。
理論的には、足に力が全く入らない、歩けない程度まで筋力が下がる可能性もありますが、
「歩けなくなるまで様子をみる、我慢する」という患者さんは、実際には殆どおられません。
その前の段階で脊椎外科専門の医師の診察を受け、外科治療を相談されるケースが大半でしょう。
そのほかには、尿や便が出ない、または我慢できないなどの症状が見られることもあります。
これは、神経への圧迫が相当強いというサインです。
急いで専門医の診察を受けてください。早急に手術を検討する必要があります。
いずれにせよ大事なのは、何か症状に変化があれば、主治医の先生に状況を報告し相談することです。
最近は、内視鏡手術のような、体に負担の少ない方法も発達しています。
当院の内視鏡手術は8mmのキズが2ヵ所で、入院期間も術後1-2日です。
病状によっては日帰りも可能です。
日常生活にも短期間で戻って頂けるようになりました。
年齢などを理由に手術を迷われるような方も、症状が強いのであれば、もう一度主治医の先生と相談されることをお勧めします。