・腰椎椎間板ヘルニアとは、どういう病気ですか? 病気の原因は、何ですか?
・椎間板ヘルニアで圧迫される神経によって、症状はどう違いますか?
・椎間板ヘルニアの発生する場所によって、どのような違いがありますか?
・腰椎椎間板ヘルニアに対する治療にはどのような方法がありますか?
椎間板とは、何ですか?
椎間板とは、椎体の間にはさまっている軟骨です。中心にゼリーのような芯(髄核)があり、その周囲を同心円状の軟骨(線維輪)が囲んだ作りになっています。
腰椎椎間板ヘルニアとは、どういう病気ですか? 病気の原因は、何ですか?
日常生活において負荷が積み重なった結果、腰の椎間板の髄核が線維輪を突き破って飛び出し、腰椎の神経を圧迫している状態を、椎間板ヘルニアと言います。
20代から40代の方に多いです。
長い時間座った状態での仕事、重いものを持つ、前かがみの状態での作業、など、腰に負担のかかる作業が影響します。
一方で、腰に負担のかかることをしない方でも椎間板ヘルニアを発症する場合があります。その他に、 喫煙もヘルニアの発症に影響があると報告されています。
遺伝的な要因も報告されており、椎間板ヘルニアの発生に関与する複数の遺伝子が知られています。
腰椎椎間板ヘルニアでは、どのような症状が出ますか?
椎間板がわずかに飛び出た状態、つまり初期の症状は腰痛だけです。
ヘルニアが進行、つまり椎間板が突出するに従い、神経を圧迫するようになり、お尻から足にかけて痛むようになります。
椎間板ヘルニアで圧迫される神経によって、症状はどう違いますか?
いわゆる坐骨神経痛ですが、圧迫される神経が何番目かによって、痛みを感じる部位が変わります。(詳しくはこちら)
鼠径部、太ももの前側、ふくらはぎの内側
太ももからふくらはぎの外側
太ももからふくらはぎの後ろ側
椎間板ヘルニアの発生する場所によって、どのような違いがありますか?
正中型ヘルニア
ヘルニアが真ん中へ飛び出すと、馬尾神経が圧迫され、左右両方で足が痛むようになります。
傍正中型ヘルニア
ヘルニアが真ん中よりやや外側に突出すると、神経根を圧迫するので、腰痛に加えて、片方の足の痛みや痺れが見られます。
外側型ヘルニア
神経根が脊柱管の外側で圧迫されると、足により強い痛みが出るようになります。
椎間板ヘルニアを診断するにはどのような検査が必要ですか?
まず初めに一番大事なのは、問診および運動・感覚の検査を含めた診察所見です。
その後レントゲンやCT、MRI検査などを行います。
椎間板ヘルニアは、レントゲンだけでは診断できません。飛び出た椎間板をはっきりと確認できるのはMRI検査だけです。
その他に、外科治療を検討する段階では、腰の骨をよりはっきりと映し出すCT検査を追加します。
ペースメーカーを留置していてMRI検査が出来ない方などでは、造影検査を行うこともあります。
腰椎椎間板ヘルニアに対する治療にはどのような方法がありますか?
1.内服治療
殆どの方で、まず初めに行う治療です。
神経障害性疼痛(神経が原因の痛み)に対する薬、消炎鎮痛剤(いわゆる痛み止めです)、神経への血流を増やして症状を改善させる薬、等があります。
2.ブロック治療
飲み薬で効果が無ければ、透視装置で確認しながら、腰椎神経根ブロックを行う場合もあります。
3.手術治療
椎間板ヘルニアの患者は、内服やブロック治療などの保存治療によって、8割以上の割合で症状が改善します。
しかし、保存治療で症状が良くならない、足の力が入りにくくなった、または尿や便を漏らしてしまう、などの症状があれば、手術を御相談する場合があります。
手術は、基本的には飛び出た椎間板を摘出し、神経への圧迫を取り除くというものです。以前は肉眼で確認する方法が主でしたが、現在はそのほかに顕微鏡、内視鏡など様々な器具を使う方法があり、病院ごとにやり方が異なります。
我々は、主に内視鏡下ヘルニア摘出術を行います。
手術時間は1時間、8mmのキズが2ヵ所です。退院は手術翌日ですが、日帰り手術も可能です。
日常生活への復帰は1週間程度です。