平衡感覚とは
私たちの体のバランスが保たれるためには、
「目から入ってくる視覚情報」と、
「耳の奥にある、三半規管や前庭から入ってくる、重力や加速、回転などの情報」
「足の裏で自分の体がどのように動いているかを感知する、深部感覚」
の3つの情報が必要です。
この3つの情報が脳まで伝わり、そこで処理され、頭と目の動きをコントロールして、平衡感覚が維持されています。
つまり、目と耳と足から感覚の情報が脳に入ってきて、体のバランスがとられているのです。
逆に言えば、このうちのどれか一つ、目、耳、足の裏からの感覚、脳、どこかの調子が悪くなれば、体のバランスが狂うわけです。結果として、めまいやふらつきなどの症状が出てくることになります。
実際にめまいの原因として多いのが、耳と脳です。
めまいの原因になる病気
耳(内耳)
めまいの原因として、一番多いのは「耳からの情報」に問題がある場合です。
耳の奥には、音を聞く感覚器(蝸牛)以外に、3つの輪のようになっている「三半規管」と耳石を含む「前庭」という、バランスと関係している感覚器があります。
めまいの原因で多い病気が、頭を動かした時にめまいが短時間起こる「良性発作性頭位めまい症」です。耳石と呼ばれる石のようなものが、三半規管に入り込むことで発症します。繰り返しやすいですが、放っておいても2〜4週間で治ってしまうことが多いです。
そのほか、難聴、耳鳴りなどの症状も出てくる「メニエール病」などがあります。
脳
脳が原因のめまいで多いのが、いわゆる脳卒中(脳梗塞、脳出血など)によるめまいです。脳卒中が原因のめまいであれば、突然起こるという特徴がありますが、その他にもいろいろな脳神経の症状が出ることがあります。つまり、舌がもつれる、手足に力が入りにくいとか、吐き気がある、そのような症状があれば、脳卒中の可能性が高い、ということになります。(小脳がダメージを受けた場合でも、吐き気が出ることがあります)
しかし、詳しく診察してもなかなか神経の症状が分からない場合もあります。めまいの他には、明らかな神経のサインが見つからないケースも多いのが現実です。ですから、以前には見られなかっためまいが突然出てきた場合は、脳の専門の医師を受診して、MRIなどの検査を考えた方が良いでしょう。
そのほか
心臓の病気、高血圧、脱水、熱中症、起立性低血圧症、低血糖症、貧血、外傷後頸部症候群(むちうち)、不整脈、心身のストレスなどが原因で、めまいが起こることもあります。
特に、心筋梗塞や狭心症、大動脈解離、心臓弁膜症、心筋症などの心臓の病気が原因で、心臓から出される血液の量が減るために、めまい感が起こることがあります。胸痛や息切れ、動悸などの症状が以前からあって、その後にめまいも出てきた場合には、心臓の専門の医師を受診した方が良いでしょう。
まとめ
めまいの原因として一番多いのは、内耳という部分からのめまいですが、脳梗塞などの重大な脳の病気が原因の場合もあります。そのほかに、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の症状として現れていることもありますので、めまいが気になったら、一度脳の専門の病院またはクリニック受診すると良いでしょう。