・頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症とは、どういう病気ですか? 何が原因でしょうか?
・頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症では、どのような症状が見られますか?
・頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の診断には、どのような検査が必要でしょうか?
・頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の治療には、どのようなものがありますか?
頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症とは、どういう病気ですか? 何が原因でしょうか?
首のほね(頚椎)を簡単に書くと下のようになります。(せぼねのつくり 参照)
ブロック状の骨(椎体)と、クッションとなる軟骨 (椎間板)が重なって、柱のようになっています。その後ろに骨の輪(脊柱管)があり、中に神経の束(脊髄)が入っています。各々の骨の段ごとに、神経の束から左右2本ずつ神経の枝(神経根)が生えています。
頚椎症とは、年齢、または長年の負荷により変形した椎間板、椎体、黄色靭帯などが神経を圧迫している状態です。 圧迫がある程度の限度を超えると、様々な症状が出てきます。
脊髄が圧迫されている病気を頚椎症性脊髄症、神経根が圧迫されている病気を頚椎症性神経根症、と呼びます。
頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症では、どのような症状が見られますか?
1.頚椎症性脊髄症
首から腕、および手の指に痛みや痺れが見られます。細かい作業が難しい (ボタン掛け、箸の使用)、歩きにくい、 などの症状が見られます。
2.頚椎症性神経根症
肩から腕、手の指にかけて、電機が走るような痺れや痛みが見られます。
頸部の後屈(上を向く動作)により、神経根への圧迫が強くなるため、痛みが激しくなります。
手を上げていると、腕から手にかけての痺れや痛みが楽になります。(脊髄神経による痛み、痺れを参照)
頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の診断には、どのような検査が必要でしょうか?
まず、診察の段階で運動および感覚障害など、神経の症状がないか確認します。
ものをつまみにくい、ボタンを留めにくい、歩きにくい、階段を降りにくい、などの脊髄症状、または腕から手にかけての痛み・痺れなどの神経根症がないか、症状を詳しく問診します。
腕の筋力、感覚(触覚や痛覚)、腱反射などの異常がないか確認します。
診察の結果、頚椎での神経症状を疑われた場合には、頚椎のレントゲン、CT, MRI検査などを行います。
頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の治療には、どのようなものがありますか?
1.薬物療法
症状が痛みや痺れだけの場合には、まず内服治療を行います。
神経障害性疼痛(神経が原因での痛み)に効果のある薬などを処方します。
2.ブロック治療
・神経根ブロック(エコーガイド下神経根ブロック)
神経根症状の患者さんに対して行います。
エコーで神経の枝(神経根)を確認しながら、その近くに麻酔薬を注射します。
麻酔薬は歯医者さんなどで使われるものと同じであり、麻酔薬そのもののの鎮痛効果は一日で切れます。しかし、神経根の周囲の炎症を抑える、また痛みの悪循環を止めることにより、鎮痛効果が続く場合があります。 → 詳しくはこちら
・経椎間孔頚椎硬膜外ブロック
脊髄症による痛み、痺れに対して行います。
→ 詳しくはこちら
3.手術治療
薬物療法やブロック治療などで痛みや痺れが治まらない場合や、筋力低下が見られる、手や足に使らが入らない、細かいものを指でつかみにくい、などの症状が見られる場合には、内服治療などでは不十分と考えらえるため、手術を御相談します。
方法は大きく分けて2通りあります。
首の後ろ側から行う頚椎椎弓形成術、内視鏡下椎間孔開放術、首の前の方から行う頚椎前方固定術、等があります。
病状に応じて方法を決定します。