・腰部脊柱管狭窄症とは、どういう病気ですか?原因は何ですか?
・腰部脊柱管狭窄症で、神経が圧迫される場所によって症状は変わりますか?
腰部脊柱管狭窄症とは、どういう病気ですか?原因は何ですか?
腰部脊柱管狭窄症が生じる原因は、加齢や、長年にわたる腰への負担です。
椎間板は徐々に中の水分が減り、押しつぶされたような形に変形しますが、それと共に椎体も形が変わって角が尖ってきます。
すると、同時に黄色靭帯が厚くなります。
結果として、椎間板や椎体、黄色靭帯などによって前後から脊髄神経が圧迫されるようになります。
神経への血流が障害されるため、神経に浮腫や変性が起こり、痛みや痺れが出るようになります。
加齢の要素が強いので、多くは中年以降に発症し、年齢が高くなるほど患者さんは多くなります。
場所は、L4/5(上から4番目と5番目の腰椎の間)に多く見られます。
腰部脊柱管狭窄症では、どのような症状が出ますか?
神経への圧迫が、ある限度を超えると、足に痛みや痺れが出るようになります。
立ったり歩いたりすると腰から足が痛んだり痺れたりしますが、止まって休むと和らぐため、休憩しながらでないと歩けなくなります。これを間欠性跛行といいます。
立ったり歩いたりすると、痛みやしびれが強くなるのは、腰が伸展することで脊柱管が狭くなり、神経への圧迫が強くなるからです。
一方で、自転車に乗ったり買い物カートを押しながら歩いても、足の痺れ・痛みは出ません。
これは、自転車に乗ったり買い物カートを押す時には、前かがみの姿勢になり脊柱管が広がるため、神経への圧迫が和らぐためです。
自転車に乗る、買い物カートを押す、等では症状が出ない
腰部脊柱管狭窄症で、神経が圧迫される場所によって症状は変わりますか?
狭窄症の症状は圧迫される部位によって3種類に分類され、症状の出方も異なります。
馬尾型
脊柱管の中心が狭くなって馬尾神経が圧迫されるものを「馬尾型」といいます。
両足の痺れ、だるさ、等のほかに、残尿感や便秘などの排便・排尿障害が見られます。
神経根型
脊柱管の中心ではなく外側が狭くなり、神経の枝(神経根)が圧迫されるものを「神経根型」といいます。
足の痛みが主な症状です。片側に出ることもあれば、両足に出る場合もあります。
混合型
馬尾型と神経根型の両方が合わさったものを「混合型」と呼びます。
足の痛みと、排便・排尿障害の両方が出現します。
腰部脊柱管狭窄症では、どのような検査が診断に必要ですか?
間欠性跛行などの典型的な症状が無いか、問診の段階で確認します。
足の筋力低下、感覚障害などがないか、診察の段階で確認します。
腰のレントゲン、CT、MRI検査などで診断します。画像検査の中心となるのはMRIです。
腰部脊柱管狭窄症には、どのような治療法がありますか?
体に負担の少ない、内服治療から始まることが一般的で、効果が無ければブロック治療を考えます。
それでも効果がない場合や、足の筋力が落ちてきた場合、尿や便のコントロールが出来なくなった場合などに、手術を相談します。
1.内服治療
神経障害性疼痛(神経が原因の痛み)に対する薬、神経への血流を増やして症状を改善させる薬、等があります。
2.ブロック治療
透視装置で確認しながら、腰椎神経根ブロックを行います。
3.手術治療
神経への圧迫を取り除く治療です。
腰部脊柱管狭窄症に対する手術は、どのようなものですか?
除圧術と固定術、大きくはこの2つに分けられます。
除圧術は脊柱管を狭くしている骨や靭帯や椎間板を削り、脊柱管を拡大する方法です。
その中でも様々な方法がありますが、手術を肉眼で確認しながら行うのか、顕微鏡で見るのか、内視鏡で見るのか、大きく3つに分かれます。(詳しくは、腰椎除圧手術の今と昔 オープン法/顕微鏡手術/内視鏡手術の違い も参照ください)
最近は内視鏡手術の技術が発達しており、より小さなキズで体の奥の処置ができるようになりました。我々の脊椎内視鏡手術は、2ヵ所の小さな傷から内視鏡をからだに挿入して、脊柱管をくりぬくように削る手術です。
固定術は背骨にぐらつきがある場合や、大きなズレがある場合に行います。
手術の術式、除圧術と固定術どちらを選ぶのか、どの術式にするのか、は病院によって変わります。
我々は、ほとんどの患者さんで、内視鏡下椎弓切除術を選んでいます。