
外来で、患者さんに
「頸椎症性神経根症っていわれたけど、どれくらいで治るの?」
「頸椎椎間板ヘルニアってどのくらいかかるの?」
という質問をよく受けます。
結論から言うと、多くの方は手術なしでも改善します。
ただし「放っておくと危ないサイン」もあるので、治り方の目安と治療の考え方をわかりやすく説明します。
頚椎症性神経根症とは?
頚椎症性神経根症とは、

首の骨や椎間板の変化によって、
首から腕に向かう神経の枝(神経根)圧迫されることが原因の症状です。
軟骨(椎間板)が神経を圧迫する椎間板ヘルニア
骨のとげ(骨棘)が圧迫する頚椎椎間孔狭窄症
などの病気があります。

- 首〜肩〜腕の痛み
- しびれ
- 力が入りにくい
などの症状です。 - 首を後ろに曲げると痛みがきつくなる
- 腕を上にあげると楽になる
- といった特徴もあります。
どれくらいで治る?自然経過の目安
研究や臨床のまとめでは、
“多くの人が数週間〜数か月で“はっきり楽になる”ことが分かっています。

- まず、American Academy of Family Physiciansの解説では、非手術治療で約88%が4週間以内に改善すると報告されています。
- そしてNational Center for Biotechnology Informationの総説(StatPearls)でも、12週間以内に最大85%が改善という記載があります。
しかし、ここで大事なのは、“治る=痛みがゼロになる”ではなく、日常生活が回るレベルまで戻るという意味で語られることが多い点です。
完全に消えるわけではなく、少し症状が残る方は、意外に多いんですね。

しびれは痛みより遅れて引くこともあります。
治療の基本は段階を踏んで考える
頚椎症性神経根症の治療は、いきなり手術ではなく、多くは次の順番で進めます。
① まずは保存療法(最初の数週間)
- 痛みを増やす動きを避ける(無理な上向き、重いもの、長時間の同一姿勢)
- 薬(消炎鎮痛薬など)や、状況により神経痛の薬
- 体の使い方・姿勢・ストレッチやリハビリ
- 頚椎のカラーの装着も有効です(職場環境などにより、カラーを着けられない方も多いです)
これらの保存療法で多くが改善します。 - 神経根ブロックは、内服治療でしばらく様子を見て行われることもありますが、早期に症状を直したいときなどに、早めに選択する場合もあります。
②それでもダメなら手術を検討
「一定期間きちんと治療しても、日常生活が維持できない」
「神経の麻痺が進む」
このような場合に手術が選択肢になります。
ただ、以前に強い症状が出たので、今の症状が強くなくてもかなり不安、という方もおられますので、
治療方法は、経過に応じてご相談いたします。

方法としては、背中側から行う内視鏡下頸椎椎間孔開放術と、前の側から行う頸椎前方固定術とがあります。(手術の方法は、詳しくはクリックしてご覧ください)
様子見してはいけない”危険サイン
次のような場合は、自然経過を待つのではなく、早めに医療機関で評価が必要です。

- 腕の筋力低下が進む(物がつかめない、手首が上がらない等)
- しびれよりも「明らかな脱力」が目立つ
- 歩きにくい、手が不器用、ボタンが留めにくいなど(脊髄症の疑い)
- 排尿の異常が出る

このあたりは、単なる神経根症ではなく、
脊髄が圧迫される頚椎症性脊髄症が混ざっている
可能性があり、対応が変わることがあります。
受診の目安
最後に受診の目安です。
早めに相談してほしいケース

- 痛みが強くて眠れない・仕事が難しい
- 2〜4週間たっても改善がはっきりしない
- しびれに加えて脱力がある、または悪化している
すぐに相談してほしいケース

- 徐々に腕の力が入らなくなる
- 手の不器用になる、歩きにくい
- おしっこが漏れる、出にくい、など
当クリニックへのご相談について
大阪市東淀川区のよしむら脳神経・脊椎外科クリニックでは、
脊椎外科を専門にする医師が、
- 症状の詳しい聞き取り
- 必要に応じた検査や今後の対応方針の説明
を行っています。
症状に応じて、当日のMRI検査やブロック注射、そして経過次第では、内視鏡手術も選択肢としながら、治療のご相談をいたします。
症状が心配な方は、お気軽にご相談下さい。





