人は誰でも年齢とともに脳の働きがペースダウンし、年齢相応に物忘れが見られるようになります。多くの人は60歳ごろになると記憶力に加えて判断力・適応力などが、若いころと比べると下がるようになります。そこで皆さんが一番心配されるのが、アルツハイマーが型認知症に代表される、「認知症」だと思います。
認知症とは、何らかの原因で記憶力や判断力などが障害されて、日常生活がうまく行えなくなるような状態をまとめた名称です。
一般的に、加齢による普通の物忘れとは、例えば「約束した日付を忘れてしまう」「財布をどこにしまったか忘れて探している」などで、これは認知症の症状ではありません。
一方で、認知症の症状による物忘れとは「約束したこと自体を覚えていない」「財布をしまったこと自体を忘れる」といった、〝そのこと自体〟を覚えていられない状態です。
物忘れを診察するにあたってまず大事なことは、物忘れの原因が体の病気や薬の影響などでおこっていないか、を確認することです。治療できる病気が原因であれば治療する、薬の影響なら、中止できるものは中止する、という対応が出来ます。
認知症については、根本的な治療は難しいですが、早期に発見し、生活習慣を改善したり危険因子を治療することで、認知症の発症や進行を遅らせることができます。